桜の名所の危機がささやかれる「ソメイヨシノ」の寿命

桜と聞いて思い浮かべる桜の名前は

何でしょうか?

 

やはり、よく耳にするのは

「ソメイヨシノ(染井吉野)」では

ないでしょうか。

桜とメジロ

 

桜は、主に「山桜」と「里桜」の2分類

桜の分類は複雑なのですが、主に

野山で野性的に自生する桜の原種「山桜」と

人の手で交配(品種改良)された「里桜」の

2つに分類されます。

(分類が複雑なので簡単に説明しています)

 

「山桜」の代表的な名所といえば

奈良県・吉野山があります。

 

また、「山桜」は長寿な樹木が多く、

日本三大桜として

樹齢2000年以上、山梨県の

山高 神代桜(やまたか じんだいざくら)、

樹齢1500年以上、岐阜県の

根尾谷 淡墨桜(ねおだに うすずみざくら)、

樹齢1000年以上、福島県の

美春 滝桜(みはる たきざくら)があります。

 

こういった「山桜」をもとに、

人工的に交配した桜を「里桜」と言い、

栽培品種・園芸品種として流通しており、

原種(固有種)と交配種をあわせると

約600種の桜があるそうです。

 

ちなみに、

「枝垂れ桜」は、江戸彼岸桜の園芸種です。

また「八重桜」とは、八重咲きの桜の総称です。

奈良県、吉野山の桜

奈良県、吉野山の桜

 

ソメイヨシノは、接ぎ木で繁殖する

ソメイヨシノは、大島桜と江戸彼岸桜を

人工的に交配して作り出した桜で

江戸時代末期に染井村(現在の東京都豊島区)の

植木屋が生み出した園芸品種です。

 

10年程で立派に成長し、

見事な花を咲かせることから

明治政府の推奨により徐々に

全国各地に広がりました。

 

北海道と沖縄を除き日本の桜の約80%は

ソメイヨシノだと言われています。

 

これだけ多くの場所で、桜の名所を

作って来たソメイヨシノですが

実は、種子をほとんど付けないため

自力で繁殖できず、接ぎ木や挿し木によって

繁殖させ育てている桜なのです。

(このことをクローンと呼ぶ人もいます)

 

そのため、当然ながら

どのソメイヨシノも

同じ遺伝子を持っており

開花時期も気温などによって

ほぼ同一なため、一斉に花が咲くのです。

 

桜の開花予想の標本木がソメイヨシノなので

開花時期の推測がしやすく

桜前線が発表されるというわけです。

 

一方、江戸彼岸桜のような「山桜」は

それぞれの木の個体によって

開花時期に差があるため、

ソメイヨシノのように

一気に咲いて散ることがなく

長く桜を楽しむことができます。

一本桜

一本桜(山桜)

 

ソメイヨシノの寿命

長寿の「山桜」に対し

ソメイヨシノの寿命は60年程だと

言われています。

 

そのため、第二次世界大戦の終戦後に、

植えられた桜が寿命を迎えており

ゆくゆくは、桜の名所が減少するのではと

心配されています。

 

ですが、戦後70年が経つ今でも

ソメイヨシノの名所は

美しい花を咲かせ続けています。

 

それは、「これからも桜の花が咲くように」と

願う植木職人や樹木医などの献身的な

手入れと努力が功を奏しているから!

 

潔く散ってゆく桜ですが、あとどれくらい

名所が保たれるのか。。。

もしかすると今、お花見ができることは、

とても贅沢で貴重なことかもしれませんよ。

 

 

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